ゼロワンのしょうやです!
昨年12月に公開された映画ボディビルダーを観に行ってきたのですが、狂いすぎててめちゃくちゃ面白かったのでレビューしたいと思います!
「ストーリー」と「演技」の二軸で主にレビューします(※ネタバレ含む)
プロフィール
山口翔矢
ジム経営、ボディビルダー、トレーナー、モデル。前職のゼネコンを退職しトレーナー業に転職し2022年登戸でセミパーソナルジムを開業。2024年稲田堤店/2025年武蔵小杉店OPEN。トレーニングを通じ健康的な体を届けています。連絡はinfo@zeroonegym.com
美しい映画ではない
ボディビルのプロ選手を目指し過酷なトレーニングを日々積んでいる黒人青年、キリアン・マドックスのボディビルに人生を捧げた「純粋」熱血青春「ラブ」ストーリー!!
と!思いきや、、、、
純粋?が故に日常が徐々に壊れていくある種のサイコスリラーとなっております。スポ魂、青春ではなくpsycho映画なのです。
正確に言うと純粋ではないのですが、、、
※psycho:「精神異常者」「狂気の人」という意味。
※以下、ネタバレ含む
直接的にボディビルが原因で生活が壊れるというよりもストーリーが始まった段階で既に主人公キリアン(以下、キリアン)の生活は壊れていたというのが適切です。
キリアンは幼少期に両親を亡くしている(DV気質の父親が母親を銃殺し父自らも自殺)過去があります。
また幼少期に父親からも暴力を受けていたと推測できるシーンにキリアンは人に触れられるのを極度に嫌がる。
つまりは幼少期から人付き合いを避けてきたのが彼の人格形成のベースにあります。
決してこの映画ではボディビルを「悪」として描いているのではなく、たまたま精神疾患者がボディビルにのめり込んでいってよりサイコになっていくのを描いています。
それを象徴するのが、度々登場する心理カウンセラーとのシーン。(映画を理解するのに大切なキーワード)
直接は描かれてはいませんがキリアンが過去に暴力を起こしカウンセリング治療に通っているシーンから映画は始まります。
ボディビルで結果(地位、名声)を残していたら救われるのですが、結果は全く出ず。
地方大会で6位なので残せていると言えば残せているのですが彼の目指すIFBBプロには程遠い。
しかし、この映画の面白いところはキリアンの異常性にドキドキするところは勿論ですが、自分に置き換えて観れるところです。
今でこそ、ボディビルで人生変えるぞ!!
と言う意識は低いのですが大会に出始めた頃はまさにキリアンのように日常生活を犠牲にしてまで勝利に渇望していました。
以下は、キリアンに共感した異常シーンです。
ボディビルをしたことない人は恐らく理解し難いですが非常にリアルに描かれていたのでボディビルの裏側を観たい人は是非!

異常性①YouTube撮影
YouTubeで同じシーンを3時間以上撮影。
筋トレYouTuberとしてバズらせようと自己紹介とボディビルの基本をカメラに向かって説明するシーンなのですが元々話しが得意ではないキリアン。
途中で噛んだりセリフが飛んだりで何回も何回も撮り直すシーン。
しまいにはステロイドの過剰摂取からくる軽い心筋梗塞で倒れてしまう。
そして力作のYouTubeにはアンチコメが殺到し溜息と共にPCをそっーと閉じる。
(再生回数50とかでコメント0よりかはアンチがいるだけ良いなと思ったけど笑)
ここは、一時期YouTubeを投稿していたから痛いほど分かりますね、、、
たかが数分の動画なのに思うように撮れず何回も撮影してしまうのです。
流石に3時間はないけど!
カメラに向かって一人で話すって簡単そうでかなり難しい。
そして頑張って撮影、編集して投稿した動画が思うように伸びない。
そう!YouTubeは甘くない!!
観ていて辛かったです。

異常性②過食からの嘔吐
勤務先のスーパーにいる意中の彼女に思い切ってデートに誘いディナーに。
人付き合いが苦手なキリアンが明るく振る舞えば振る舞う程、痛々しくなる。(一番観てられないシーンでした)
ウェイトレスにする注文がまた痛いのなんの、、、、
(油抜き、ベーコンなくして、ソースに糖質は入っているか、、、、、)
「え!?IFBBプロの彼を知らないのか!???」
「おいおい!冗談はよしてくれよwww」
「もっと君は外の世界を見たほうがいいよ!」
自分のフィールドで人を見下す発言。
外の世界に出たほうが良いのは君だよキリアン。
トイレに行くと席を立つ彼女。
その後ウェイトレスから彼女が帰宅したことを告げられるキリアン。
怒りを抑え、先程注文した食事とは間逆なジャンクを「冷静に」大量に注文。(ちなみに人生賭けている大会の1週間前)
その後、嘔吐して全部出す。
この過食シーンはボディビルやっている人は分かると思います。
私は過食には縁がないのですがこういう人を多く知っているので胸が痛くなりました。
それまで食事を切り詰めて食材や調理方法にもこだわってプロさながらな食生活を送ってきたのに、たった一つの出来事で自分が食べたいものに見境なく手を出す。勝利よりも目先の欲を優先。
本当のプロであれば大会1週間前にそもそもデートはいかないし過食も抑えます。
しかしキリアンはプロではなく「プロを演じている」「プロを演じたい」のです。
彼の中でプロとはこうあるべき姿を演ずることで自分を正当化する。
だから、いつか歪(ひずみ)が出来て爆発する。
この対比が上手に描かれています。


異常性③血まみれでステージに
大事な大会当日。
車で会場に向かう途中、キリアンの暴力性が原因で以前トラブった人たちから突如リンチを受け瀕死の状態に。
それでも大会に這ってでも出る。
血まみれの中、慌ててステージに上がりパフォーマンスするもぶっ倒れて病院送りに。
このシーンを境にキリアンの中での「ボディビル」は完全に壊れます。
職場を解雇されトレーニングはおろか、食事も朝からホイップまみれのパンケーキ、ドラッグ、娼婦。
収入が絶たれ人生が崩壊していく中で他者、社会に対して憤りを感じるようになり、大量の銃器を購入し無差別殺人計画を、、、
弱者が強者に対して抱く、全てを壊したい憎悪すなわちルサンチマンに。。。
映画冒頭でキリアンの住む街は治安が悪く、度々凶悪な暴力事件を取り扱うニュースのシーンがあるのですがここの伏線を回収してます。

主演ジョナサン・メジャースの演技力
この映画の凄さは主演ジョナサン・メジャースの演技力です。
映画に向けての体作りとは終えない相当なボディビルディングを積んだのが分かります。
ほぼボディビル漬けの日々だったのではないでしょうか?
ただ下半身の弱さ、サイズ力に言及するシーンがあるのですがこれは撮影で下半身のバルクアップが間に合わなかったのかどうか真偽の程は分からないです。
ポスターを見たときに
「下半身弱いなー」
と思ったのでここを敢えて彼の弱点として描いてくれたのは嬉しかったです。
下半身の筋量不足に言及することで更に映画が一層リアルなものとなりました。
またポージングが絶妙に「下手」に演技するのも良かったです。
敢えて下手にすることで、審査員から評価されない構図を作る。
周りのボディビルダーと対比した時に「何かキリアンのポージング変だな」と違和感を覚える。

キレ食いするシーンは本当にキレ食いしてるんじゃないかって思いました。
過酷なトレーニングと減量を通して役作りに励んできた「キレ食い」シーンは彼にとってのチートデイだったはずです。
筋トレはほどほどに(感想)
筋トレはほどほどにしよう。映画を観て最初に持った感想です。
筋トレ=正義 みたいな風潮がありますが決してそんなことはなく、一部界隈では薬物を使ってまで筋肥大をしたりとエクストリームな方向にいくことも。
自己犠牲で終われば良いのですが他者を巻き込んで悪い影響を与えてしまうのは良くないですよね。
エクストリームに突き進んだ結果、本当に人を◯す寸前までいくが何とか思いとどまり結末は一応ハッピーエンドに。自分の異常性に気づき自己を受け入れてまたボディビルを始める。そこで幕を閉じる。
決してモチベーションが上がる映画ではありません。
むしろ現実に目を背けず現実を受け入れ出来ることをコツコツやっていこうと思わせてくれました。
私もボディビルダーの端くれなので、嫌なことがあったらトレーニングに逃げて、ボディビルダーになる夢を追いかけ過剰なトレーニングで日常を誤魔化していたこともありました。
しかし、いつからかそのボディビルに対する「変な」情熱は冷めていっています。
変わらず今もトレーニングは積んで日課としています。
強度も高い方だとは思いますが決してプロになれるレベルではありません。
トレーニングの強度や情熱が冷めることをどこかボディビルから逃げている諦めているのかな?
と思ったりすることもあったのですが、この映画を通して良い意味で今の自分を受け入れることができました。
今の自分にとって大切なのは、会員様であり、仲間であり、家族であります。
自分の周りにいる人達の優先順位が高いですしそうでありたいと思っています。
そうなると自分のボディビルに注げる時間や熱量は自ずと低くなって当然。
今の環境で今のトレーニングルーティンを崩さずに健康的に過ごせていることがむしろ幸せだと気付かされました。
退路を経ちボディビルに注ぐだけが人生ではない。
もっともそうやって成功を収めてきた人も大勢いるので否定することはありません。
あくまでも私にとってのボディビルに対する価値観です。
ボディビルは私の人生を豊かにする為の一つのツールであり全てではありません。
他にも大切なことや面白いことが人生には山程あるので視野を広く受け入れていきたいです。
久しぶりに考えさせられる映画を観たのでレビューを書きました。
程なくサブスク動画配信サービスで配信されると思いますので気になった方は是非、御覧ください!
以上、しょうやの映画レビューでした。

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